こんにちは。
みやびな心をもつエンジニアを目指し、京の地に住みはじめて早3年。
ウェブライダー7号の村橋です。

本日から始まったウェブライダーのオウンドメディア「ウェブライダーLab」
ライダーひとり一人が各々の趣味嗜好や、いろいろなノウハウを綴っていくこの場所で、記念すべき初回記事を、このたび私が担当することになりました。

京都の文化を愛するひとりとして、今回はクライマックスを目前にした祇園祭の見どころをお届けします。

さて、あなたは祇園祭(ぎおんまつり)が7月1日から7月31日まで続くことをご存じでしょうか。
祇園祭とは、絢爛豪華な山車(だし)が町内を練り歩く「山鉾巡行(やまほこじゅんこう)」のことと思われがちですが、実は7月に行われる神事・祭事の総称なのです。
つまり、7月の京都中心部では、毎日のように神事・祭事が行われているということです!
その中でも有名なのが、山鉾巡行なんですね。

ウェブライダー京都本社は、この山鉾が立ち並ぶ四条通のほど近くにあります。
そこで、ここからは祇園祭に心酔する村橋が、ぜひご覧いただきたい行事を選りすぐってご紹介します!

ただ、その前に、祇園祭についてカンタンに予習しておくことにしましょう。

「祇園祭」とは

祇園祭の始まりは平安時代に遡ります。

869年、全国的に疫病が流行したため、御霊会(ごりょうえ)という祭礼を行い、退散を祈願しました。
長さ2丈(約6メートル)程の矛(ほこ)を66本(当時の国の数です)立て、牛頭天王(ごずてんのう:祇園社にお祀りされている神様。後の神仏分離によりスサノオノミコトが祭神となる)を祀ったことが始まりといわれています。

後にこの祇園御霊会は、京都の町衆(まちしゅう)が中心となり毎年行われるようになりました。
平安末期には祭礼が賑やかになり、鎌倉時代になると鉾(ほこ)や長刀(なぎなた)に装飾を付けたものが行列に加わるようになります。

戦乱などで度々中断を余儀なくされますが、その度に町衆が復興させ、山鉾同士で競うように豪華絢爛になっていきます。
こうして、祇園祭は町衆の誇りとなりました。

ところが、1533年に起こった一向一揆を受けて、室町幕府が一切の神事を禁止してしまいます。
もちろん町衆は黙っておらず、「神事これ無くとも山鉾渡したし(神事はしなくても、山鉾巡行はしたい)」と、山鉾巡行を強行したと言われています。
このように町衆の強い想いに守られて、祇園祭は始まりから千年以上たった今も途絶えることなく行われているのです。

山鉾は現在33基あり、前祭(7/17)に23基、後祭(7/24)に10基が巡行します。

まずは、山鉾巡行への気分も高まる、奉納舞台をご紹介します。

宵々々山で賑わう山鉾町で能舞台を鑑賞
奉納舞台「天岩戸(あまのいわと)のカミあそび」

日時:7/14(木) 18時・19時
場所:新町高辻

日本神話の天岩戸をイメージした奉納舞台が岩戸山で行われます。
能の舞と、篠笛の演奏を目の前で鑑賞できます。

やっぱり外せない
前祭山鉾巡行(さきまつりやまほこじゅんこう)

日時:7/17(日) 9時から
場所:四条烏丸から四条通、河原町通、御池通の順で巡行

祇園祭の代名詞、山鉾巡行は毎年7月17日に行われます。
今年は日曜日にあたっており、さらに翌日18日は海の日という絶好の日取りです。

一方で、混雑が予想されます。
四条河原町や河原町御池では、(早朝から場所取りをしない限り)遠目にしか山鉾を見ることができないかもしれません。

そこで、オススメするのは四条新町です。
新町通は他に比べて道幅が狭いので、近くで見ることができると思います。
四条新町に山鉾が姿を見せるのは、正午くらいの見込みです。

もう一つのオススメは新町通りに面した町家の二階に上がることです。
二階席のある飲食店などを探してみてください。
運がよければ、山鉾から粽を投げ入れてもらえるかもしれません。


さて、初めて山鉾巡行をご覧になる方にとっては、どの山鉾も絢爛豪華で違いがわかりにくいですよね。

そこで、今年新調された懸装品(けそうひん)をふたつご紹介します。
いずれも、前祭山鉾巡行でお披露目されますよ。

懸装品その1:長刀鉾(なぎなたほこ)の見送(みおくり)

「見送(みおくり)」とは鉾の背面に掛けられた織物のことです。

今年、長刀鉾の見送りが新調されます。
図柄は人気の絵師、伊藤若冲によるものです!楽しみですね。

長刀鉾はお人形ではなく、8~10歳くらいの男の子が稚児(ちご)を務める唯一の鉾で、毎年巡行の先頭を務めます。
山鉾の中で最も注目される鉾といえます。

お稚児さんが見えなくなったら、長刀鉾の後ろ姿もしっかりとご覧くださいね。

懸装品その2:岩戸山(いわとやま)の御幣(ごへい)

「御幣(ごへい)」とは、山鉾の正面につけられた金色の飾りのことです。
神道の祭祀で用いられる紙垂(しで:ぎざぎざの紙)と同等のものです。

岩戸山の御幣が前回新調されたのは、百年前とのこと。
それ以来、百年間大切に使われてきました。
今回新調したものも、この後百年使われることになると思うと、感慨深いですね。

岩戸山は前祭山鉾巡行の、後ろから二番目に登場します。

後祭の楽しみ
南観音山(みなみかんのんやま)の「あばれ観音」

日時:7/23(土) 23時頃
場所:新町通錦小路上る

深夜、観音様をしばりつけた神輿を激しく揺さぶるという、南観音山だけで行われる不思議な儀式です。
理由とされる説はいくつかありますが、どれであろうとも、後祭の楽しみであることは間違いありません。

おわりに

いかがでしたか?
祇園祭に行ってみたくなったでしょうか。

この記事を書くにあたって、初稿では見どころを15個上げたのですが、初回記事でそれだけの見所を上げると「初回記事が気合いが入りすぎると、次に書く人のプレッシャーがすごすぎる」といわれ、泣く泣く三つにしぼりました。

屏風祭も、石見神楽も、提灯落しも、神輿渡御出発式も、もっともっと見どころはあるんです。
とは言え、一度に全てを見ることはできないと思いますし、疲れてしまっては嫌な思い出になりかねないので、また来年のお楽しみとしましょう。
祇園祭りはきっと、この先千年は続くはずですので。

・・・でも、もしまだ疲れ果てていなければ、こちらにも足を運んでみてください!

提灯落し

7/16(土)22時頃から、翌日の山鉾巡行に向けて、それぞれの山鉾で駒形提灯が外されます。
中でも函谷鉾の提灯落しはその豪快さで人気です。
アップテンポなお囃子で気分が高揚したところで、提灯が一気にドスンと落とされると、一斉に拍手が沸き起こります。
町衆と見学者が一体となれるこの瞬間を、ぜひお楽しみください。

神輿渡御出発式

7/17(日)18時から
山鉾巡行をしたその日に、夕方から町中にお神輿を迎えます。
八坂神社の石段下で行われる神輿渡御出発式は、午前中の雅な山鉾巡行とは一転、熱気にあふれた勇壮は千年祭りを続ける町衆の熱い想いそのものです。
夕方からの開始ですが、翌日は祝日なので、神輿渡御出発式もぜひ見ていただきたいです。